最近の地下鉄車内には映像を流すモニターが付いていて、
さまざまなお知らせやら宣伝やらの映像が流れたりするのですが、
その時、ボンベイサファイアというジンの映像が流れていました。
ボンベイサファイアはブルーのボトルが美しいお酒で、
ずいぶん前は結構飲んだのですが、最近はとんと飲まなくなっておりました。
このとき、スッと流れてしまったのでよくわからなかったのですが、
10種類のハーブを…と詠っていて、
ボンベイってジュニパーベリーだけじゃないんだということを知りました。
ジンはもともと、オランダのライデン大学の医学部教授、フランシスクス・シルヴィウスが作った解熱・利尿用薬用酒とのこと。ジュニパーベリーによって香りづけとされたという話が、たいていアロマの本などに載っていたりしますが、ジュニパーには利尿作用があるので、こうした目的で作られたというのは納得です。
ボンベイサファイアは、イギリス統治下のインドでジンがはやったからために、その由来としてボンベイの名をつけたということですが、そもそも熱帯の占領地でマラリア対策のためにトニックウオーター(抗マラリア作用のあるキニーネが含まれている)を飲んでいて、それをもっと洗練させるためにジンを加えたということですから、いわゆるジントニックという飲み物はジンも薬、トニックウオーターも薬ということで、れっきとした薬扱いをされていたということなのでしょう。
トニックウオーターのトニック(Tonic)は、ギリシャ語のトノス(緊張)・トニコス(緊張している)が語源で、英語では強壮剤という意味を持ちますので、ジントニックとなると、解熱利尿強壮剤ということになるかもしれませんね。
で、話は飛びますが、ボンベイサファイアのその他の9種類のハーブが何かを調べてみたら、以下のようなハーブがありました。(かっこ内は支配星)
アーモンド (木星)
レモンピール (太陽)
リコリス (水星)
オリスルート (月)
アンジェリカ (太陽・獅子座)
コリアンダー (水星・金星)
カシア (水星)
クベバ
マニゲット
クベバ(Piper cubeba)はコショウ科の植物でジャワペッパーとも呼ばれます。日本ではあまりお目にかかりませんが、テオフラストスの植物誌やビンゲンのヒルデガルドのフィジカにも載っているハーブでもあります。また伝統的に悪魔や夢魔を追い払うとされています。(リトセア・クベバとは違う植物です。)
マニゲットは、実は初めて聞いたハーブ!
ショウガ科の植物で、学名はAframomum meleguetaと言います。
「マニゲットペッパー」とか「楽園の種」とも呼ばれるそうで、
プリニウスの博物誌では「アフリカコショウ」として記述されています。
体脂肪を効率よく燃焼させることから、ダイエットで、今、注目されているそうです。
クベバもマニゲットもコショウ科やらショウガ科やら脂肪を燃焼させるなどあると、火星のハーブかと考えられます。
ちなみにジュニパーベリーは、太陽・木星・射手座のハーブです。
さて、お酒+ハーブというものは、古代〜中世にかけてよく使われたというか、
チンキ剤などもハーブをアルコールにつけた物を薬として使いますし、
古いハーブの本などにも、ワインにつけておいたハーブを飲むなどといった処方もたくさんありますので、こうした面から少しお酒とハーブについて今後も語ってみたいと思います。
シャルトリューズとかベネディクティンとかもあるし。
まあ、お酒、特にスピリッツ関係はそもそも錬金術の延長で作られたようなものなので、
やはり興味として突っ込んでいきたいというか、尽きないテーマの一つと言えます。
でも、最近は年とともにお酒に弱くなってしまっているので、
飲む方は、じゃっかん控え目という感じでしょうか。